2017 PR CLを丁寧に振り返る①危機になったら、ではなく危機を「耐え抜く」ストーリー

 何がアイデアだったのか?&ヨコテンの視点から改めて振り返る事例シリーズ

 

Meet Graham

www.youtube.com

【目的】交通事故に対する注意を喚起

【課題】事故になったら大変、というのは聞き飽きている

【アイデア】事故になったら、ではなく、「事故を耐え抜くには」のストーリーにする

インサイト】「絶対に起き得ない」のに適応しようとするのは馬鹿げてる(だから見たくなる)

※例えばオールブラックスの保険の動画も、日常における危険を耐え抜く文脈

www.youtube.com

【ヨコテン】迫り来る危険に対する注意喚起のアプローチに使える(ex:地球温暖化

地球温暖化の地熱に耐えるためにナイキのスポーツシューズがすごく厚底になったり

・地熱で調理をするクッキング番組を作ってみたり一流レストランを地熱で料理させてみたり(クッキング番組ってグローバル共通だし、熱い地面で目玉焼きを作るってよく見かけるやつ)

・暑い気候に耐えるために天気予報士のスーツがスケスケ(嵐のデビューのとき来てたみたいなやつ)になったり

 

【参考】ストーリーの語られ方は違うけどエグゼキューションの切り口が似てる

みんなが形を思い出せるくらい象徴的なものの形を変えた事例

・The Unusual Football Fields(建物の隙間の空き地をサッカーフィールドにした受賞作)

www.youtube.com

 

 

【事例】興味のないことに興味を持ってもらうには

●Marias vs Maria

http://www.thedrum.com/creative-works/project/the-community-united-puerto-rico-marias-vs-maria

【目的】ハリケーンMaria被害の募金を集める

【課題】知らない人のためにお金を使いたいと思わない

【アイデア】共通する人がいて、かつつながりが深い「名前」を使う

【概要】ハリケーンMaria被害の募金を集めるために、全世界のMariaさんに呼びかけをした

インサイト】自分と同じ共通点がある人には感情移入する

【思ったこと】

 ・名前、出身地、誕生日、同じ高校、好きなバンド、お気に入りのものが一緒の人とは共感できる

・初めてパーティとかであった人とこういう共通点があると仲良くなれるのとおんなじで、上記みたいなのを切り口に募金を集めるのはあり

 

●unseen stars

 http://www.thedrum.com/creative-works/project/bbdo-new-york-ge-unseen-stars

【目的】科学の領域における女性の活躍を伝える

【課題】「科学」分野が日常から遠い

【アイデア】一番近くて人が魅了される科学を生かす

【概要】Grand Central Stationの天井にかつて活躍した女性科学者の顔を正座的に写す→一緒に自撮りが取れる様にする

インサイト】ロマンティックなものに人は惹きつけられる(星・夕焼け・夜景)

【思ったこと】

・駅(しかも超メジャー駅Grand central stationを使ったところ)の

 天井をメディアにしたのは新しい

・タイトルのstarが「星」と人を表す「スター」なのもうまい

・強いインサイトがあるというより、割と感覚的な企画ではあるけど、面白い

 

〜おまけ〜(ただいいと思ったもの)

● 口を消しゴムで消した風刺っぽいポスター

https://adgang.jp/2018/01/155337.html

消しゴムとか黒板消し、修正機、deleteキー、色が薄くなる、

文字が小さくなるはグローバル共通な「消す」のシンボルだなぁ、と。

抑圧されている人の何かを表すシンボルに使えたりしないかなぁ、、とか思ったり 

 

ルノーのCM・衝撃的な事実で手元がおぼつかなくても安全なクルマ

http://www.adsoftheworld.com/media/film/renault_wedding_0

ただただ面白い。笑

カフェで隣の人の修羅場とか聞いてても面白いけど、他人の修羅場ってなんで面白いんだろう

【事例】自分が大切にしているものをメディアにしたCP

●シェフが全員HIVのレストラン

http://tabi-labo.com/285634/casey-house-hiv

【目的】HIVの正しい知識を伝える

【課題】HIVの人との接点がない(と思っている)から正しい知識がつかない

【アイデアHIVの人が作るレストランを作る

インサイト】レストランで出てくる食べ物は安心安全

【思ったこと】 

・ストレートなアイデアだけど、確かに強い(移民の人の血を輸血する、に似てる)

・口に入るもの、体に入るものは安心安全だと当然思ってるからこそ、人が不安を抱いている対象(HIVや移民)をそこに持ってくるのはやり方としてアリ

(他に何があるかな、薬とか?)

 

チャーリーとチョコレート工場の人がアルツハイマーになる

http://www.thedrum.com/creative-works/project/mullenlowe-alzheimers-association-pure-imagination

 【目的】アルツハイマーの認知を上げる

【課題】その瞬間になるまで遠いものに感じる

【アイデア】思い入れのある懐かしいものでアルツハイマーを伝える

インサイト】懐かしいと思うものに人は注意を払う

【エグゼキューション】チャーリーとチョコレート工場の有名なシーンをリメイクして、アルツハイマーの症状を伝えたムービー

【思ったこと】 

 ・懐かしいと思ったものをいじるのは手法として1つあり(他にも何かあったけど思い出せない、、、)

・グローバルに有名かつ子供の頃に親とか友達と触れていた思い出のあるもの(有名な昔の映画や、星の王子様みたいな童話とか)は使える気がする

【事例】事象を似たものに置き換えたCP

● DVをボクシングに置き換える

http://www.thedrum.com/creative-works/project/j-walter-thompson-bangkok-home-not-boxing-ring-pickyourfight

 【目的】STOP DVを訴える

※タイはDV件数世界第二位

【課題】DVが悪いことだ、と正論を言う口実がない

【アイデア】国民的競技であるムエタイと重ねる

インサイト】人はみんなの興味のあることであれば口実にできる

【エグゼキューション】ムエタイ会場にいるラウンドガールを実際にDVを受けていた人にする

【事例から思ったこと】

・ボクシングとDVを重ねるのはうまい(似たもの)

ラウンドガール、と言うシンボル

・強いて言うなら広告的(あんまり強いインサイトには基づかない。例えば男と女が戦う、とか登場した時点ですでに相手選手がボロボロになってるとか)

 

●人種差別をピアノに置き換える

http://www.thedrum.com/creative-works/project/dentsu-webchutney-the-racism-cover

 【目的】人種でお互いを排除すべきでないと訴える

【課題】差別したところで何の影響が出るかわからない

【アイデア】ピアノの鍵盤と人種を重ねる

インサイト】普通にあるものが足りないと、違和感を感じる

(ピアノの絵を書くときには必ず黒と白の鍵盤の両方が存在)

【エグゼキューション】インドの子供に白い鍵盤だけでピアノを聞かせる

→なんの曲か当てさせようとするも、わからない

→黒い鍵盤も使って改めて引かせる

→マイケルジャクソンの「BLACK or WHITE」だと気づく

→どっちかだけじゃハーモニーは生まれないね(って言う動画)

【事例から思ったこと】

 ・動画なのであんまり参考にできないかもだけど、面白い視点だったので

・何かの絵を書くときに必ず出てくるもの(=シンボルになるもの)をいじる(増やす・小さくする・消す)のは手法としてありだなと思った

 

●おまけ

おっきいバンプを作っちゃう

http://www.thedrum.com/creative-works/project/spark44-jaguar-land-rover-worlds-largest-speed-bump

 【目的】LAND ROVERの性能(どんな走りづらい道でも走れる)をアピール

【課題】砂漠とかジャングルなら伝わるけど日常じゃ伝わらない

【アイデア】普通の道路を走りづらくしちゃおう

インサイト】要考察

(みんなができないことを簡単にやってのけると優越感を感じる)

【エグゼキューション】スピードを下げるためのバンプ(道の凸凹)をめーーちゃくちゃ大きくして街に設置→普通の車が通れなくて渋滞→そんなみんなを横目に LAND ROVERだけが通れる

【事例から思ったこと】

・何か日常にあるものをめーーーちゃくちゃ大きくしたり、小さくしたりって、絵として伝わりやすいし、ありだなぁと思いました!!

溜まってた事例(雑多)

http://www.mif-design.com/blog/2017/12/09-112506.php

【目的】エイズ患者は意外といる、を知らせる

インサイト】人は自分の周りは安全だと思い込む

(「まさかあの人が犯罪者だったとは」的な、その「まさか」の部分)

【課題】数字は目に見えないと把握できない

【アイデア】街中の人の体を赤く塗る

【事例から思ったこと】

HIVのアプローチって、見えないとこに以外といるよ(可視化)が多い

・去年?カンヌ受賞してた新聞の文字をHIVに変えるやつ(HIVNATER?)に似てる

・意外といる、を目に見える範囲のものに可視化するか、もしくは知ってる人(友人や芸能人、SNSのフィード)で可視化はアイデアのヨコテンとしてありかも

 

 

http://www.mif-design.com/blog/2017/12/22-080307.php

【目的】学校を奪われた難民へのドネーション

【課題】遠い難民と自分に共通点がない

【アイデア】楽譜の中の、音符を買って、寄付をする

インサイト】個を集めて集合を完成させたい

【事例から思ったこと】

・あんまり日常と接点ないし気持ちは揺るがないけど、氷河を買うのに似てる

・日常にあるものをバラして、販売するっていうのはアプローチとしてありかも

著作権が切れた有名な物語のフレーズを教育系のdonation用に売りに出すとか)

 

https://adgang.jp/2017/12/155280.html

【目的】スピード違反を減らす

【課題】メーターあんまり見てない

【アイデア】サンタさんに言わせる

インサイト】サンタさんだったら何言われても許せる

【事例から思ったこと】

 ・スピード出しすぎるとサンタの声がするクリスマスカード

・言う人を変える、の事例(カンヌでは子供がスピード出し過ぎって注意するボルボ?の事例ありましたね)

・聞きたくなる声(聞きたくなくなる声)ってなんだろう

例えば聞いてたラジオがホラー・お経・政見放送に変わるとかだったらスピード落とすかな、逆にスピード落としてたら宝くじ・ビンゴに参加できるとか?

 

●おまけ 

広告として面白いなと思った2つのもの。

どちらも昔の広告の続きを作ってる感じで、

話題性はあるよなぁと思った。

・jr ski

http://www.mif-design.com/blog/2017/12/07-081540.php

 ・m&m

http://www.mif-design.com/blog/2017/11/30-080139.php

 

●日常でサバイバル番組を実演

そういえば去年の本戦でもOOH賞?似たような奴がノミネートしてたのでpick up

【目的】番宣

インサイト】日常は常に安心安全なものだ

【アイデア】サバイバルという非日常と何もない安全な日常の対比

https://adgang.jp/2017/12/154283.html

 

 

 

「西武旅するレストラン」のエクスペリエンスをひもとく

先日、「西武旅するレストラン」を利用した。

美味しい料理に感じのいい空間。乗った後、「なんかいい、すごくいい!」という感覚が残ったので、

なぜいいかを紐解いてみました。

色々紐解いていくと、戦略として発見があると思ったので備忘録までメモ。

 

◆西武旅するレストランとは

西武鉄道が提供する、新しい旅のスタイル。

西武 旅するレストラン 52席の至福

都内~秩父間のお客様を運ぶ、ただの電車。

が、極上のお料理と景色と共に、特別で上質な時間を楽しめる空間に。

ディナーは1万5000円くらいで、競合(伊豆クレインとか)と比べるとお手頃価格で若者にも手が届く。

 

◆戦略面をひもとく

どうして、電車が「特別で上質な時間を楽しめる空間」になったのか。

それは秩父に行きたくなる理由を作りだす必要があったから。かと。

 

西武鉄道は、ここ数年秩父の活性化を頑張っている。

その背景には西武が苦境の時を迎えていた、経営再建時がキーにあるらしい。

外資に買収されそうになった時、秩父の路線だけは守り抜いた、だからこそ、秩父は常に人がいる状態にしなければならないのだと。(ソース:電車男。かなりざっくりまとめてしまいました)

 

もともとの西武鉄道の目的は、「この夢の旅列車に乗ってもらう人を増やす」のではなく「秩父に来てもらう人を増やす」こと。旅列車は手段。

目的を達成するために秩父でイベントやるよ!など、秩父内で何かやったって、中途半端な場所にあって、わざわざ行くまでもない秩父に人は来ない。

だからこそ、行くまでの「過程」に着目し、その過程である「電車」に価値を作ったのではないかと。

 

まとめると、

西武鉄道としてのありたき姿は「秩父にもっと人が来ること」

であって、そのための「秩父に行きたくなる理由(WHY)を作る」(戦略)

ための、旅するレストラン(戦術)なのだと思った。

 

◆解決策面(戦術)をひもとく

五感フレームワークに見ていくと…

-視覚(料理の見た目、美しい秩父の自然)

-味覚(秩父の食材を使った美味しい料理)

-嗅覚(同上)

-聴覚(上質な音楽。接客スタッフ自らが演奏するバイオリンコンサート)

-触覚(秩父おやつ、お土産)

 

・ハード面・ソフト面で見ていくと…

<ハード面>

-秩父の伝統工芸品(和紙など)を使用した、天井設備

-落ち着いた色のデッキ

-ゆとりのある52席

-数々のお土産

<ソフト面>

-スタッフのゆとりあり丁寧な接客

-落ち着いた音楽

-飲み放題ドリンクサービス(お得感)

-写真撮影サービス

-料理の色合い・見た目の良さ

 

→これらがこの52席を「至福」たらしめる要素なのだと思った。

 

◆考察

・過程に注目すると、新しい価値づくりができるなあと。(秩父内ではなく、その周辺にある、秩父に行くための足に着目)

・「52席」の至福 のように数字で縛ると限定感ができて、特別観がますなあと。

・コンセプトのキーファクターは絞るほうが伝わるのだなぁと(今回は景色と極上料理)

 

この旅するレストランの体験を購入すると、1万5000円で

・列車チケット(移動・食事)

秩父沿線電車乗り放題チケット(今回使わなかったくうう)

秩父にまつわるお土産 

が提供される。おとく。

車内に乗ってる人たちはほぼ晴れの日の人たちだった。(結婚記念日、誕生日)

特別な体験にみなお金を使っているのだな~。

 

ちなみに秩父駅には、2017年春(最近だった)駅前温泉がある。

岩盤浴とお風呂(充実)、マッサージを楽しんで都内に戻った。駅周辺で秩父を楽しむこともできる。

温泉入るためにまた秩父行きたいな~

 

後半疲れつきましたが、以上ずっと書き留めておきたかった「西武旅するレストラン」の備忘録でした。

 

面白かったものメモ

最近面白いものに触れてない、触れてたとしてもアウトプットできてないので・・・

習慣化を。。。

 

最近面白いと思ったもの(事業より)

 

◆ジンズの世界一集中できる空間

www.wwdjapan.com

 

<理由>

JINSというアイウェア会社が取り組んでいること(新規性)

②集中状態に到るまでのフローが可視化されているところ(他ワークスペースとの差別化)

 

①よく見たら、VISIONが影響していた。

“マグニファイ・ライフ(=人々の生活を拡大し、豊かにすること)”だと。

弱視を見えるようにする、だけでなく、「視野」の概念が拡大している・・・JINSって面白い会社〜

 

インフルエンサーアカデミー

www.wwdjapan.com

 

ありそうでなかったよな・・・と腑に落ちた。これもまた事業よりだけど・・・

 

<理由>

・メディア企業が、取り組んでいる新規性

・「一見すると(雑誌の)競合」である集団を囲い込む戦略

 

VOGUE、ELLEなどなど、「憧れ」を感じる媒体だからこそ成立したのかな〜

この後どういうビジネスやっていくんだろ・・・

きになる

 

めも終了m(__)m

CRのストックしないと。。